タイミング
2
4
私は眉毛が薄い。そして短い。だから左右の眉尻にプラタナスの樹を植えた。6月の今、葉っぱのふさふさが嬉しくて私は日に何度も鏡を見てしまう。
先生はいつも教室に入る前から喋りはじめる。だから顔を見たときにはもう「今日は何の日」的な話をしていて、私たちはそれを聞かなきゃと思って挨拶するタイミングを失い、もやもやしたまま授業に突入してしまう。このまま社会に出たら挨拶のタイミングを計れない大人になりそうで自分のことが心配になる。
だから私は先手を打つことにした。ただ教室で待つのではなく、攻めの姿勢で廊下に出ようと。
翌朝、廊下で会った先生はもう喋りはじめていた。その翌日は階段。そのまた翌日は職員室の前で。でも先生は喋りはじめていた。通勤路や駅に先回りしても喋りはじめている。
途方に暮れた私は先生を寝室で待つことにした。さすがに先生は驚いたようで、お前の眉毛かっけーな、と言った。私はついに挨拶をした。
先生はいつも教室に入る前から喋りはじめる。だから顔を見たときにはもう「今日は何の日」的な話をしていて、私たちはそれを聞かなきゃと思って挨拶するタイミングを失い、もやもやしたまま授業に突入してしまう。このまま社会に出たら挨拶のタイミングを計れない大人になりそうで自分のことが心配になる。
だから私は先手を打つことにした。ただ教室で待つのではなく、攻めの姿勢で廊下に出ようと。
翌朝、廊下で会った先生はもう喋りはじめていた。その翌日は階段。そのまた翌日は職員室の前で。でも先生は喋りはじめていた。通勤路や駅に先回りしても喋りはじめている。
途方に暮れた私は先生を寝室で待つことにした。さすがに先生は驚いたようで、お前の眉毛かっけーな、と言った。私はついに挨拶をした。
公開:21/06/19 10:54
ログインするとコメントを投稿できます