卑屈乙女

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 四人がけテーブルに一人で座っている。大学の昼休みに一人で過ごすというのは案外気楽でいいものだ。高校時代はこうはいかなかった、大学というところに所属を移しただけでこうも違うのかと最初は驚いた。だが今日は違う、何がいけないって隣のテーブルに座った男どもがいけない、こいつらめ喧しい上にデリカシーがない。愛想良く「椅子借りてもいいですか?」と声をかけてきたのはまぁ良い。だがこちらが「いいですよ。」とかえすと三つとも椅子を持っていってしまった。四人がけテーブルに一人で座ってる私には椅子が三つ余分だ。だが一人で大きなテーブルを一つの椅子で座る惨めさがわからないのか。分からないだろう、七人で大騒ぎしている貴様どもには。目の錯覚でしかないのだが私のテーブルがいつもより大きく見える。高校時代、自分の席で一人食べていたことを思い出す、あの時も机が大きく見えた。私は急いでおにぎりを口に押し込み席を立った。
青春
公開:21/06/18 18:46

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