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夫を見送り、洗濯物をベランダで干していると、“ギャー!ギャー!”空が騒がしい。
見ると、カラス同士の喧嘩だ!
抜けた羽根が舞っている。
そして、1羽のカラスが、“ドサッ”とベランダへ落ちて来たのだ。
翼の付根から血を流し、ハァハァしている。
私は救急箱を持って来て、話し掛けた。
「治療して上げるから、怖がらないで」
カラスは頭が良いのか、抵抗し無い。傷口を消毒し絆創膏を貼り、ダンボール箱に新聞を敷いて中に寝かせた。
瓶に水と残りご飯を少し置いてやった。
翌日、ご飯は無くなっていた。2日目からは、目の前でご飯を食べるようになった。
5日目の朝、姿は無かった。
傷が癒えて、去って行ったのだろう。

それから数日後、ベランダの手摺りに、あのカラスが何かをて咥えて止まっていたのだ。
「すっかり元気ね」
カラスは嘴を突き出した。
「私に?」
私がアイスの当たり棒を受取ると、カラスは飛び去って行った。
その他
公開:21/06/18 17:52

杉本とらを( 東京 )

言葉遊びが好きで、褒めらると伸びるタイプです。
良かったら読んでやって下さい!

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