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幼い頃、私は父の肩車が大好きだった。父に肩車をしてもらっては頭頂部にある複数のメーターを確認する。
燃料が少ないのは疲れている証拠。今夜は父にビールを提供しよう。アルコールはガソリンになると父も大喜びだ。
一緒にお風呂に入ってはその背中を流してやろう。父にはいつもピカピカであってほしい。
次に走行距離を確認する。
一つは私を乗せて移動してくれた距離。私が思っていた以上に父は私を肩車してくれていた。
もう一つの移動距離は私達家族を肩に担ぎ、仕事で東奔西走してくれた距離。
ふんぞり返っていても仕事は来ない。仕事は足で稼ぐものだと父はよく言っていた。
子供の笑顔が親の元気の源と言うのは本当のようだ。
妻ではメーターを確認できない。
肩車からのメーター確認ができるのは子供の特権かもしれない。
私もまた、我が子を肩車に乗せてはメーターを確認してもらっている。
子供は口車で騙せても、肩車では騙せない。
公開:21/06/20 20:40

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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