カタコリ粉

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「パパ、肩が凝ったらこの券を使ってね」
父の日に幼い娘が手作りの肩たたき券をプレゼントしてくれた。
「パパ、この袋に入った粉を肩にまぶせば肩たたき券をすぐ使いたくなるわよ」
妻が意味ありげに笑いながら袋を押し付けてきた。
あんかけや揚げ物などの料理に使うカタクリ粉が入った袋にしか見えない。
訝しく感じながらも、妻の指示で肩を出して粉をまぶした。
すると、急に肩が凝ってきた。
「こりゃ、いったい何の粉なんだ!?」
「カタコリ粉よ」
「カ、カタコリ粉!?」
「パパの肩が凝ったみたいだよ」
妻が言うと、待ってましたとばかりに娘が走ってきた。
「パパ、肩たたき券をください」
もらったばかりの券を渡すと、娘が嬉しそうに肩たたきを始めた。
「気持ちいいよ」
「パパ、お返しにママと私をパンケーキ屋さんへ連れてって」
娘からのプレゼントに喜んだのも束の間、これが魂胆だったのかと気づいても後の祭りだった。
その他
公開:21/06/20 07:04
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山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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