星狩

2
3

一つの目の流星が水平線ギリギリのさそり座の心臓を射抜いた。サソリが怒って、アンタレスがどぎつく紅く閃光を放つ。25点。
二つ目の流星が南十字の交叉点を掠めた。水平線の向こうの見えない所をこれほどまでに正確に狙うとは。40点。
アンドロメダ座の右手首、鎖を断ち切ってやろうと弓をひいた。放たれて流星は進む。行け。暗い空間を裂いて、風も音も超えて行く。私の流星は、わずかにそれて、いや、大幅にそれてアンドロメダ銀河を弾いた。
点数は…。息をのんで待つ。

30点。

はじめから銀河を狙ったものとして、実況は会場を盛り上げる。空を震わせる満場の観客の歓声に弓をくるくる回して、私は笑顔でこたえた。

アルテミスの杯を今夜こそ私がもらう。
ファンタジー
公開:21/06/19 21:47

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容