持ち帰り専門店
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今日、儂らは村に持ち帰り専門店を招いた。
「本当によろしいのですね?」
神妙に頷く。本当は良くない。だが、こうするしかない…
店のスタッフが風景にハサミを入れる。景色を、住み慣れた我が家を切り取っていく。
手渡される風景は写真ほどの大きさに変わっていた。涙が出る。
周りも同じだ。家が、田園が、鶏小屋が切り取られては薄い写真へと置き換えられていく。
切り取られた後の風景には何も残されていない。雑草が伸び放題で、ついさっきまでそこに家があったなんて誰が信じるだろう?
悲しくなる。だが、限界集落であるこの村は近い未来こうなる。それなら儂らの手で終わらそう。
持ち帰り専門店のスタッフの手際は見事だった。美しい風景を美しいままに切り取ってくれた。これを持って、新しい家に帰るとしよう。
「この写真、何だか懐かしい気がする…」
息子夫婦の家で孫が呟いた。持ち帰った風景、気に入ってもらえて良かったよ。
「本当によろしいのですね?」
神妙に頷く。本当は良くない。だが、こうするしかない…
店のスタッフが風景にハサミを入れる。景色を、住み慣れた我が家を切り取っていく。
手渡される風景は写真ほどの大きさに変わっていた。涙が出る。
周りも同じだ。家が、田園が、鶏小屋が切り取られては薄い写真へと置き換えられていく。
切り取られた後の風景には何も残されていない。雑草が伸び放題で、ついさっきまでそこに家があったなんて誰が信じるだろう?
悲しくなる。だが、限界集落であるこの村は近い未来こうなる。それなら儂らの手で終わらそう。
持ち帰り専門店のスタッフの手際は見事だった。美しい風景を美しいままに切り取ってくれた。これを持って、新しい家に帰るとしよう。
「この写真、何だか懐かしい気がする…」
息子夫婦の家で孫が呟いた。持ち帰った風景、気に入ってもらえて良かったよ。
公開:21/06/19 20:58
元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。
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