ハンガーストライキ

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「交渉は上手くいったんですか?委員長!」
組合員が委員長に詰め寄る。
「ダメだった。今年はベア無しとの最終回答だ」部屋中にため息が漏れる。「だからこそ我々が今、団結して組合員としての態度を表明せねばならん。」
「どうすれば良いんですか?」
委員長は組合員全員の顔を見回し、ゆっくり言葉を発した。
「ストライキだ。」
組合員はざわついた。
「今ならまだ新棟に役員が残っている」
「新棟を取り囲みましょう!」昨年入社したばかりのタケダが言う。
「どうやって?」
「ここが何の会社かお忘れですか?」
皆ハッとして部屋を飛び出して行った。

あっという間に、新棟が物干し台と竿竹で囲まれた。組合員が全ての竿竹に3名ずつ袖を通してバリケードを作った。
そのまま3日が過ぎようかと言う時、再度交渉に応じると役員から告げられた。
飲まず食わず竿竹にぶら下がった3日間。
これがハンガーストライキの始まりである。
青春
公開:21/06/13 15:49
更新:21/06/13 15:51

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