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畳の上で死にたい、という要望に応えて、救急車のストレッチャーを畳敷きにする、という案が出された。
「わかってます、救急車は人の命を助けるもので、そこで亡くなる人がいてはいけないということも。けど、現実には亡くなってしまう人もいる、だからこそ、僕は……!」
それは熱のこもった意見だったが、やはり縁起が悪いということで、却下された。
「わかってます、手術は人の命を救うもので、そこで亡くなる人がいてはいけないということも。けど、現実には——」
彼は次に、病院の手術台を畳敷きにするという案を出したが、やはり縁起が悪いのと、衛生面から却下された。
しかし、彼はめげずに、今度は病院のベッドを畳敷きにすることを提案した。
それから分娩台、さらには診察台までも——。
そんな彼は、畳屋の四代目。
先細る一方の業界を憂う、今時珍しい熱血漢なのであった。
「わかってます、救急車は人の命を助けるもので、そこで亡くなる人がいてはいけないということも。けど、現実には亡くなってしまう人もいる、だからこそ、僕は……!」
それは熱のこもった意見だったが、やはり縁起が悪いということで、却下された。
「わかってます、手術は人の命を救うもので、そこで亡くなる人がいてはいけないということも。けど、現実には——」
彼は次に、病院の手術台を畳敷きにするという案を出したが、やはり縁起が悪いのと、衛生面から却下された。
しかし、彼はめげずに、今度は病院のベッドを畳敷きにすることを提案した。
それから分娩台、さらには診察台までも——。
そんな彼は、畳屋の四代目。
先細る一方の業界を憂う、今時珍しい熱血漢なのであった。
その他
公開:21/06/19 10:00
コメディ
お笑い
シュール
黒澤伊織といいます。2人組で小説を書いています。ショートショートは好きで、よく書いていますので投稿していこうと思います。ちょっと皮肉の効いた話とか、ダークめの話、また逆にお笑い系の話とかを作ります。よろしくお願いします!
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