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死に場所を求めて、俺は重い体を引きずっていた。息をするたび、肺がぎゅうぎゅう痛む。背骨が痛い。一歩踏み出すたびに、次の一歩が最後なんじゃないかと思うほど痛みは激しく、目の前は暗く霞んでいる。
あいつはきっと悲しむだろう。そんなことはわかっている。けれど、別れは済ませてきた。あいつもそれくらいわかるはずだ。俺たちは言葉なんか交わさなくても、わかり合える仲なんだ。なあ、そうだろう?
けど――もうそろそろ限界だ。
前々から当たりをつけておいた場所へ潜り込む。ここなら誰にも見つからない。あいつに迷惑もかからない。だから、俺も安心して逝ける。
じゃあな、楽しかったぜ。いつかまた、虹の橋で会おうな――――
ある冷たい朝、塀と塀の間の狭い隙間に、ぼろきれのような毛皮が挟まるようにして死んでいた。彼はこの町の誰かの飼い猫。そして、いまは虹の橋で飼い主を待つ、一生を幸せに過ごした魂でもあった。
あいつはきっと悲しむだろう。そんなことはわかっている。けれど、別れは済ませてきた。あいつもそれくらいわかるはずだ。俺たちは言葉なんか交わさなくても、わかり合える仲なんだ。なあ、そうだろう?
けど――もうそろそろ限界だ。
前々から当たりをつけておいた場所へ潜り込む。ここなら誰にも見つからない。あいつに迷惑もかからない。だから、俺も安心して逝ける。
じゃあな、楽しかったぜ。いつかまた、虹の橋で会おうな――――
ある冷たい朝、塀と塀の間の狭い隙間に、ぼろきれのような毛皮が挟まるようにして死んでいた。彼はこの町の誰かの飼い猫。そして、いまは虹の橋で飼い主を待つ、一生を幸せに過ごした魂でもあった。
その他
公開:21/06/16 17:00
文学
死
ヒューマンドラマ
黒澤伊織といいます。2人組で小説を書いています。ショートショートは好きで、よく書いていますので投稿していこうと思います。ちょっと皮肉の効いた話とか、ダークめの話、また逆にお笑い系の話とかを作ります。よろしくお願いします!
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