空魚について話そう

　空魚(くうぎょ)とは、空を泳ぐ水棲生物の総称である。
　空"魚"とあるが、鯨やアシカなどの水棲哺乳類も含まれている。
　しかし、それは本物の生物ではなく、宙を漂う粒子が一時的に集約し生物の姿を模倣しているだけである。
　東大陸国の、特に霊峰白渓の近辺でよく見られる現象であり、それを目当てに国交の乏しい他大陸からも観光に訪れる者がいる。
　その発生条件は詳しく分かってはいないが、発生するのがほぼ東大陸国であること。さらにメイトの証言により、宿り子や宿神を乗せて泳ぐ姿が目撃されたことから、彼らと深い"神和性"があること。また宿り子には、粒子に干渉する力がある可能性が示唆されている。
　世界学者はさらに、集約された粒子が生物の中でも特に、"可愛げ"のあるものを模倣していることから、命だけでなく心すらも粒子により生み出されるのでは？とも推論しており、空魚は"自然発生した心"とも言われている。