多忙なカモメ

海に遊びにきたカラスに誘われてカモメは街にやってきた。浜辺と違って街は刺激的。カモメはカラスたちと街の生活を楽しんだ。食べ物は美味しくて飽きない。夜にはカラオケ「カラカラ」に行く。カモメが歌うと一瞬しーんとなり、カモメの美声はカラスたちに褒めはやされた。カラスの友達がたくさんできてカモメは泊まる場所に困らない。毎晩違うカラスの巣に泊まった。
そのうち街の生活にも飽きてカモメは海に帰った。浜辺で旧友たちに再会したが、みんなよそよそしい。カラスと過ごすうちに真っ白な翼がグレーになっていたのだ。浜辺の生活はやはり単調。季節が変わる頃にカモメはまた街にやってきた。木々はすっかり葉を落とし冷たい風が吹く。見知ったカラスは一羽もいない。「カラカラ」にいくと店主が迎えてくれた。カモメは泊めてもらって店を手伝った。カラオケ店で客と一緒に歌ったりして人気者。店の屋号はいつのまにか「カモカラ」に変わった。