血風のフラグブレイカー

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「ちょっとコンビニ行ってくる」
行ったきり帰ってこないフラグだ。
俺は幾度となく恋人の悪いフラグを折り続けてきたフラグブレイカー(自称)である。
「ちょっと待った」
「……なに?」
場が凍りつく。いつの頃か、俺が彼女を制止すると、たまに空気が変わるようになっていた。
身体が震える……これが武者震いだ。
「行っちゃダメだ」
「あー……またそれ?」
「またとは何だまたとは!」
「付き合ってあげるけどさ……どうなっても知らないよ?」
太極拳の最上位に上り詰めた彼女が構えた。まったく、武者震いが酷くなるぜ。
「今回も……君の危機を回避させる!」
「タイミングがズラされて助かってるのは事実だけど……アンタ弱っちいんだよねー」
何かをボヤかれたが、気にしない。先手必勝だ……!

大きく踏み込む。数歩進み、拳を握り締めた。
彼女は澄まし顔で構えを変えない……イケる。
空手青帯の実力、とくとご覧あれ!
ファンタジー
公開:21/06/10 21:27

加賀守 崇緒( 猫屋敷 )

気まぐれなハチワレ猫です。
頭抱えながら文章を考えてます。
スイカと芋と肉と魚に、お米とお酒、ブドウが好き。
よろしくお願いします。

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