腕の魔人

プロ野球選手を目指して練習をしていると腕から変なオッサンが出てきた。
『私は腕の魔人。腕を磨いてくれたお礼に願いを３つ、何でも叶えて差し上げましょう』
そう言われ、咄嗟に思いついたのは”１５０キロ以上投げる剛腕投手になりたい”という夢。
『かしこまりました。早速叶えて差し上げましょう』
願いは叶った。しかし今の俺では１度の投球で肩がイカレてしまう。５回投げたところで肩が完全に壊れた。こんなの嫌だ！元に戻してほしい！
『かしこまりました。では肩を元に戻して差し上げましょう』
肩が治り、安堵した俺は魔神に聞いた。「お前、野球詳しいのか？」
『はい。あのオオタニサンを指導したのも私で御座います』
魔人の答えに最後の願いは決まった。「俺も同じように指導してくれ！」
『かしこまりました。では貴方が腕を磨き続ける限り、師事して差し上げましょう』
魔人は俺の手を取ると、その腕前を遺憾なく発揮してくれた。