持ち帰り専門店

「ずっと…ずっと好きでした！」
卒業式の日、私は先輩に告白した。
「ありがとう…でもごめん。僕、好きな人がいるんだ」
知っている。先輩はその人の背中を追って、その人が通う大学に進学したんだから。
フラれた私はポケットから手紙を取り出す。
「これ、受け取って下さい。持ち帰り専門店に頼んで包んでもらった、私の気持ちです」
先輩は手紙を受け取ってくれた。
「わざわざ持ち帰り専門店に頼んだのかよ…そりゃ、持ち帰らないわけにはいかないな」
苦笑いを浮かべる先輩に私はありったけの笑顔を向けて言い放った。
「先輩！手紙は来年の春に読んでください。今日、私を選ばなかった事を絶対に後悔させてみせますから！」
先輩に釘をさす。いや、決意を突き付けた。
１年もあれば人は変わる。私は今以上に魅力的になってやる！
１年あれば先輩だって心変わりしているかもしれない。
私も先輩より素敵な人を見つけているかもしれない。