伏線屋

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深夜のファミレスで一人でショートショートを書いていたときだった。知らない男が現れた。
「お話を書いていらっしゃいましたね」
「ん?」
「伏線がキモです」
言われなくてもわかっている。男は慇懃に自己紹介する。
「伏線を売っています」
俺は映画「パンチライン」でジョークネタを売る男を思い出した。
「伏線は考えてるよ」
「コンテストには最強の伏線が欲しいですね」
どうして知っているんだ。コンテスト用で伏線がいまいちだと思っていたところだった。
「いくら?」
「一本一万円です」
「高いな」
「未完成品で三千円のもあります」
「安かろう悪かろうか」
「質は変わりません。途中までです」
三千円で買った。紙をこよりにした伏線である。
こよりを開いて読むと確かに工夫が凝らしてある。これをどんなオチにつなげるのか、そこで伏線は終わっていた。俺はオチを考えあぐねた。
別の男がやってきた。
「オチ屋と申します」
その他
公開:21/06/12 10:17

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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