ガラスの靴

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昔々、ある国の王様がこんな御布令を出した。
「先日の舞踏会で、王子がある令嬢とダンスをした。王子はこの令嬢のことを大変気に入った。ぜひ妃として迎えたいそうだ。だがこの令嬢はダンスの後、すぐに帰ってしまった。片方の靴を忘れるほど急いだ様子で。ぜひお話ししたいので、名乗り出てもらえないか」
これを見て国中が沸いた。王子と結婚できるとあって国中の女性達が城に殺到し、列をなした。
王様は本人確認のため、片方の靴を履かせた。だが靴が合う者は一向に現れない。
後方に並んだ女の番。侍従が靴を履かせるとぴたりと一致した。一同はどよめいた。これこそ探していた令嬢だ。
すると衛兵達が女の周りを取り囲んだ。
「ついに見つけた。お前が王子と踊った女だな」
「どういうことです?」
「ダンスの後、王子が身につけていた宝石がなくなっていた。一緒に踊った女が掏り取ったのだ。言い逃れはできまい。靴で本人と照合されたからな」
その他
公開:21/06/12 10:17

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