持ち帰り専門店

目を覚ますと知らない場所にいた。ここは…病院？
「持ち帰り専門店だよ」
声の方を見ると襤褸を着た老婆が不機嫌そうに言い放った。
「自殺しようとしたアンタを儂が助けたのさ」
思い出した。私は生きるのが嫌になってビルから飛び降りたんだ。
「儂は拾う神。アンタの捨てた命を拾って持ち帰った」
ニタリと不気味に笑う老婆。まるで悪魔か死神のようだ。
「アンタには儂の仕事の手伝いをしてもらう」
仕事の手伝い？
「ああそうさ、人が捨てた希望や夢を拾う仕事さ」
老婆に外へと連れ出された私は道端に光り輝く希望や夢が転がっているのを見て驚く。これを拾ってどうするのだろう？
「こうするのさ」
老婆は拾った夢と希望を私のお腹に押し込んだ。
「次に生まれてくる子に託すんだよ」
温かい気持ちに満たされる。
「ほら、早く回収しな。地球が夢や希望を吸い過ぎると温暖化が進むよ」
そして思わぬ事実を知らされ急ぎ仕事を手伝った。