お前に火星はまだ早い

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人類初の有人火星探査ロケットに俺は乗り込んだ。
このミッションは片道切符だ。
一度火星に降りたら、もう二度と地球の土は踏めない。
それでも俺は行く。
俺の燃え立つハートが冒険を求めているのだ。
操縦席のハーネスを固定する。
「あ」
「どうした?」
とリーダーがきく。
「すみません、家を出るときにエアコンのスイッチ切り忘れた気がして…」
「なんだくだらない。そんな些末なことは忘れるんだ。俺たちは火星に行くんだぞ!」
「そうですね。あ、」
「どうした?」
「猫を預けるのを…」
「おいおい、本当はまだ心の準備ができていないんじゃないのか?」
「そんなことありません!…あ」
「今度はなんだ?」
「…まだ伝えてない。ユリアに、君を愛しているって」
「管制室、急だが出発メンバーを変更する。わかってほしい」
そしてリーダーはハッチを開けると、俺の背中を外へ押し出した。
「早く行け。お前に火星はまだ早い」
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公開:21/06/09 08:28

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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