Ⅰ.057 ペルビエの迷宮~面構~

0
1

「にしても、蒼猫さんてこういう顔をしてたんですね」
 不貞腐れる主人を見てか、トトが話題を変えた。
 秘密主義を通しているとこの怪盗が素顔を晒したとして、レビューサイトでも話題にはなっていた。
 フードで隠れていたその顔は、ボサボサの青髪で目元まで覆われており、鼻の周りにはそばかすが浮いていた。
「何と言うか…」
「冴えない顔よね」
 容赦ないお師匠。
「ちょっと、ご家族の前で…」
「別にいい」
 素っ気なく言う主人。それはあくまで蒼猫の素顔であって、兄の素顔ではないからな。しかし、なぜ兄君はあのような顔をかぶっているのか?
「それで、その後迷宮で何があったんですか」
 本題に戻った。
 この先に、トトが求める真実がある。
 主人が躊躇いながらも、お師匠の視線に急かされ口を開いた。
「距離を詰めては離される攻防が続く内に、見物者もいない場所まで辿り着いた…」
 今思えば、招かれるままにな。
ファンタジー
公開:21/06/08 21:47
連載 ファンタジー 怪盗 探偵

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容