葬式と登校拒否

クラスがざわついた。
先生が、また同級生が不慮の事故で亡くなったことを告げたからだ。”不慮の事故”とは言っているが、通り魔に襲われたとだれもが知っている。今年になって４人目だ。明らかに狙われている。
先生は泣きながら「みんなで葬式に行こうね」と肩を落とした。
式場にはクラス全員がそろった。
実はクラスに登校拒否の女の子がいるのだが、その子も葬式だけは母親の付き添いのもとに参加している。しかも必ずだ。
母親は娘をクラスに溶け込まそうと努力してるようで、いろいろなひとに娘を連れて話しかけている。だが、あまりに場違いで、浮き上がっているのは明らかだった。
この母親だから、あの子は登校拒否なっているのかもしれない。
葬式が終わるころ、あの子の母親は疲れた様子でつぶやいた。
「今回もダメだった……」
この声を聴いた瞬間、私はとてつもない恐怖に襲われた。