伏線の網

素晴らしいオチを思いついた。鮮やかなとびきりの目も覚めるようなオチだ。傑作ショートショートだ。
主人公は美貌のお嬢さんとその恋人。メイドとペットの犬も登場させる。はじまりは爽やかな高原の別荘の庭のテーブルで二人のランチ。極上のワイン。バイオリンの生演奏。順調な出だし。「起」はこれでよし。オチにどうつなげるか。効果的な「転」には伏線が必要だ。ランチの次に彼らを散歩させよう。「承」だ。静かな林の小径をぶらぶらと歩く三人と犬。その道で伏線を張る。お嬢さんは伏線で足を引っかけて転ぶ。男がすぐに起こしてやる。二人の目が合う。犬が吠えて伏線に絡む。メイドが犬を抱き上げて絡んだ伏線を解こうとする。伏線は伸びてメイドも絡まる。伏線は網になってお嬢さんと男も覆って三人と犬は伏線の網から逃れられない。じたばたして道の先のオチにたどり着けない。もう少しで目が覚めるようなオチなのに…。
ここで目が覚めた。