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「ニール」
「わん」
時が止まったかの如き対峙は主人の声で破られた。
わたしは、切れ味ある呼び声を受け全力で怪盗へと駆ける。王像の足元にまで迫っても蒼猫は余裕でこちらを見下ろしている。
その面を完全に崩すつもりで、わたしは王像を駆け上がり、足に食らい付こうとした。案の定、蒼猫はひらりと身を躱したが、派手な画が撮れたろうから、次善とはなったろう。
宙を寝転がるような動きで降りた蒼猫は、迷わずペルビエの方に向かうが、王像から離れる影はふたつあった。
プラムだ。
蒼猫とは真逆の市街地に向かっている。見物者が最も密集しており、その足元をすり抜けられたら追跡はわたしでも困難だ。理由はそれだけではないが、主人もわたしも即蒼猫の方へとその足を向け後を追った。まだまばらなヒトの間をすり抜け、徐々に迷宮への入り口が迫ってきていた。
その手前で、あの少年記者がカメラを構えているのが見えた。
「わん」
時が止まったかの如き対峙は主人の声で破られた。
わたしは、切れ味ある呼び声を受け全力で怪盗へと駆ける。王像の足元にまで迫っても蒼猫は余裕でこちらを見下ろしている。
その面を完全に崩すつもりで、わたしは王像を駆け上がり、足に食らい付こうとした。案の定、蒼猫はひらりと身を躱したが、派手な画が撮れたろうから、次善とはなったろう。
宙を寝転がるような動きで降りた蒼猫は、迷わずペルビエの方に向かうが、王像から離れる影はふたつあった。
プラムだ。
蒼猫とは真逆の市街地に向かっている。見物者が最も密集しており、その足元をすり抜けられたら追跡はわたしでも困難だ。理由はそれだけではないが、主人もわたしも即蒼猫の方へとその足を向け後を追った。まだまばらなヒトの間をすり抜け、徐々に迷宮への入り口が迫ってきていた。
その手前で、あの少年記者がカメラを構えているのが見えた。
ファンタジー
公開:21/06/08 08:01
更新:21/06/08 08:04
更新:21/06/08 08:04
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連載
怪盗
探偵
犬
猫
まずは、こんにちは。
練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。
小説・脚本なども執筆してます。
【番号なし】 用語・設定解説
【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。
【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』
【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。
【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』
【001~】 短篇集『short TaleS』
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