セミナー
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「何考えました?」
「成功したらビールうまそうだな、と。すみません」
「成就しませんよ」
酷いふられかたをした僕は、「呪いは貴方でもかけられる!」という謳い文句のセミナーに来ていた。
「頭の中の相手の目を見つめるのです」
これがなかなか難しい。想像上の彼女は横を向いているか下を見ているかで目が合わない。
「相手も術をかけているか、別の誰かに呪いをかけられているのかもしれません。貴方よりも強力な」
「えっ」
「私ならばさらに強力な力で呪いをかけることができます。費用は別途かかりますが」
先生は僕の目をじっと見つめた。
「お、お願いします!」
「分かりました」
先生は僕から聞き出して書いた微妙な似顔絵と戦い始めた。流れる汗が神々しい。
「ーー成就しました」
「本当ですか!」
「まわりを不幸にする呪いをかけたので、ぜったいに彼女には近寄らないで下さいね」
先生はにこりと微笑んだ。
「成功したらビールうまそうだな、と。すみません」
「成就しませんよ」
酷いふられかたをした僕は、「呪いは貴方でもかけられる!」という謳い文句のセミナーに来ていた。
「頭の中の相手の目を見つめるのです」
これがなかなか難しい。想像上の彼女は横を向いているか下を見ているかで目が合わない。
「相手も術をかけているか、別の誰かに呪いをかけられているのかもしれません。貴方よりも強力な」
「えっ」
「私ならばさらに強力な力で呪いをかけることができます。費用は別途かかりますが」
先生は僕の目をじっと見つめた。
「お、お願いします!」
「分かりました」
先生は僕から聞き出して書いた微妙な似顔絵と戦い始めた。流れる汗が神々しい。
「ーー成就しました」
「本当ですか!」
「まわりを不幸にする呪いをかけたので、ぜったいに彼女には近寄らないで下さいね」
先生はにこりと微笑んだ。
その他
公開:21/06/09 08:30
セミナー
呪い
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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