着信
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最初は些細なことだった。結婚3年目の嫁が最近スマホばかり見ていたので俺が文句を言ったのだ。浮気かもしれないと探偵に一度お願いしたが、浮気らしい行動は何一つなかった。
それでも毎日、隙あらばスマホに没頭する嫁を見て俺は腹をたてる。口論になってしまい、遂に
「これだから親なしは…」
と言った。まずい、と思った時、既に嫁は雨が降りしきる外へ、傘も持たずに飛び出していた。
そして、嫁は死んだ。駅のホームへの飛び降り自殺だった。
通夜が終わり、煙草を燻らす。手元に残ったのは、嫁が最後に握りしめていた壊れたスマホだった。前は憎かったが、今になると後悔が込み上げてくる。不意に俺のスマホの着信音が鳴った。
「…もしも『あ、タクヤ!』」
嫁の声がした。
…それから3年が経った。俺は嫁が自殺した理由を知ったが、それを悪いこととは言えない。今日も急かす可愛い嫁の声を宥め、俺は首にロープをかけた。
それでも毎日、隙あらばスマホに没頭する嫁を見て俺は腹をたてる。口論になってしまい、遂に
「これだから親なしは…」
と言った。まずい、と思った時、既に嫁は雨が降りしきる外へ、傘も持たずに飛び出していた。
そして、嫁は死んだ。駅のホームへの飛び降り自殺だった。
通夜が終わり、煙草を燻らす。手元に残ったのは、嫁が最後に握りしめていた壊れたスマホだった。前は憎かったが、今になると後悔が込み上げてくる。不意に俺のスマホの着信音が鳴った。
「…もしも『あ、タクヤ!』」
嫁の声がした。
…それから3年が経った。俺は嫁が自殺した理由を知ったが、それを悪いこととは言えない。今日も急かす可愛い嫁の声を宥め、俺は首にロープをかけた。
ホラー
公開:21/06/06 15:49
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