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昨春、憧れの会社に就職した私はここで新しい風を起こすんだと鼻息荒くしていた。
しかし現実は甘くない。世間の逆風を目の当たりにした私はすっかり臆病風に吹かれていた。心がぽっきりと折れそうだ…
「向かい風に当てられているな」
先輩が声をかけてくれた。
「風見鶏が教えてくれる。2カ月前は威風堂々としていて肩で風を切っていたのに、今では風に吹かれるままだ」
この会社の机の上にはなぜか風見鶏が立っている。私のそれは頼りなさげに俯いている。
「その企画、俺は面白いと思う。だから最後まで突き通せ」
先輩の一言が追い風となった。私はもう一度向かい風に挑む決心をした。
先輩が声をかけてくれなかったら私はこの仕事を辞めていただろう。
だからこそ私も後輩が困っていたら助けると決めていた。
風見鶏が助けるべく後輩に嘴を向ける。声をかけ、助け舟を出す私に先輩は笑う。
「いい先輩風吹かせるようになったじゃないか」と。
公開:21/06/07 19:31

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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