寝溜め袋

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国立睡眠研究所は、不眠症患者のために寝溜め袋を開発した。
寝溜め袋は、見た目が寝袋で、寝溜めできる袋だ。
献血ならぬ献眠によって、十分に睡眠が得られている人を募り、平均睡眠時間以上の余剰睡眠を寝溜め袋に詰め込む。
また、国立睡眠研究所は、寝溜めを採取するための探査艇も開発した。
探査艇は、熟睡している人の体内に入り、深海ならぬ深眠の中を潜航して、より眠りの深い良質の寝溜めを確保する。特に「寝床」と呼ばれる寝溜め鉱床には、大量に埋蔵されているという。
寝溜め袋は瞬く間に普及し、「ネダメーション」という社会現象が起こった。
だが、寝溜め袋が粗製濫造されてくると、寝溜めに不純物が混じり、悪夢を見させ、かえって不眠が進むという弊害を生じてきた。
各地で薬害寝溜め袋訴訟が起こったことから、国は、寝溜めに不純物が混じらないよう法律で規定した。
紆余曲折を経て、寝溜め袋のお蔭で安眠快眠国家となっている。
SF
公開:21/03/13 07:18
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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