ゴミの流星群

廃棄物処理はもう、人類の課題ではなくなった。
なぜなら、ロケットを打ち上げるコストが以前よりも、
うんと安くなったからだ。
つまり、ゴミを宇宙に捨ててしまうわけだ。
世界各国の射場から、1日に何本もロケットが打ち上げられ、
大量のゴミが大気圏外に放出された。
あるとき、奇をてらったゴミ処理業者が、
地球の重力圏内でゴミを切り離した。
これは、人気を博した。
切り離されたゴミたちが大気圏の摩擦により、
流星群となって地上に降る。
いままで滅多に見られなかったものが、毎日見られるようになった。

割りを食ったのは、神様だった。
「流れ星に3回願いごとをすれば、その願いを叶える」
なんてルールをつくってしまったばかりに、
大勢の願いを叶えなければならなくなったのだ。

だが、ルールは使いよう。神様自身で
「誰の願いも叶いませんように」という願いごとをした。