手作りは君だけに

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「レイカ、おはよう」
「おはよう、ゼダ」
女子の熱視線がゼダへと降り注がれた。
「シュナがゼダから貰った『妖精のたまご』のチョコレート、先生に没収されたって」
タラが意地悪げに笑った。シュナは学園きっての秀才でいつも自信に満ち溢れていた。
昼休み、空飛ぶチョコレートを捕まえる教師と生徒達をくぐり抜け、お弁当を持って園庭へ行く。
「レイカ、探したよ。はい、レイカから貰ったチョコレート真似してみたんだ」
箱を開けてみると、小さな球体のチョコが一つ入っていた。
「つついてみて」
言われた通りに指でつつくと、よれよれと上がった小さな花火が頭上で散った。
「ごめん、チョコ付いちゃったね」
見上げていたレイカの頬に熱い指が触れる。
「こっちこそ、ごめん。あのチョコはママが作ったの」
「知ってるよ。作り方聞いたから」
「えっ」
照れ笑いするゼダの膝にぽつんとマシュマロが落ちた。
ファンタジー
公開:21/03/13 16:12
ママは魔法使い 続編 ホワイトデー トリュフチョコレート

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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