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Cは寿司が好きだ。仕事終わりには決まって握りを食べる。今日も帰り道に寿司屋を探していた。すると、「寿司」とだけ書かれた怪しい色の暖簾を見つけた。Cは店に入ると店主の向かいに座り、店の一押しを頼んだ。
やがて寿司がCの前に置かれた。しかしそこにあったのは、シャリだけだった。
「ねえ、この握り、ネタが無いんだけど」
「これは虚の握りだよ」
「虚?」
「虚は目に見えない。目を閉じ、神経を舌に集中させて味わうのだ」
訳がわからない。いや、俺は仕事終わりにずっと寿司を食べてきた。こいつを美味しく味わうことだってできるはずだ。
Cは目を瞑り、握りを食べた。少しずつ、甘い味が口に広がっていく感覚がした。この味こそ、寿司の極地かもしれない。
虚を味わい終わったCは、ふわふわした気持ちで会計を済ませ、ふわふわ歩いて家に帰った。そのため、自分が出てすぐに店が虚空に消えたことに気がつかなかった。
やがて寿司がCの前に置かれた。しかしそこにあったのは、シャリだけだった。
「ねえ、この握り、ネタが無いんだけど」
「これは虚の握りだよ」
「虚?」
「虚は目に見えない。目を閉じ、神経を舌に集中させて味わうのだ」
訳がわからない。いや、俺は仕事終わりにずっと寿司を食べてきた。こいつを美味しく味わうことだってできるはずだ。
Cは目を瞑り、握りを食べた。少しずつ、甘い味が口に広がっていく感覚がした。この味こそ、寿司の極地かもしれない。
虚を味わい終わったCは、ふわふわした気持ちで会計を済ませ、ふわふわ歩いて家に帰った。そのため、自分が出てすぐに店が虚空に消えたことに気がつかなかった。
ミステリー・推理
公開:21/03/12 00:00
ばおといいます!よろしくお願いします。
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