(※ぐろ描写お気をつけください)シャワー

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もう3月も半ばだというのに、いまだに夜中の気温が氷点下を下回る日がある。
男は震える体を温めようとシャワーの水を出した。いつもより高い44度の設定にして、足先からお湯をかけていく。「真っ先に体に湯をかけると心臓に悪いから、心臓から遠いところからシャワーを浴びなさい」と、幼い頃、祖父に言われたのを律儀に守っていたのだった。
足先、ふくらはぎ、太ももと、徐々に心臓に近い位置にシャワーを当てていく。そして、凝り固まった左肩にシャワーを当てながら肩を回してほぐしていくのだった。

「あちっ」
思っていた以上に湯の温度が高く、慌てて設定温度を下げた。

ぼたっ

何かが落ちる音がして足元を見ると、湯に赤いものが混じっている。
足元に肌色の塊が落ちていた。
左肩の肉だった。

慌てて男は湯を止めたが時すでに遅し。
男が最後に見たのは、排水溝に向けて流れ落ちていく、かつて自らの足の指だったものであった。
ホラー
公開:21/03/11 23:07

ぱせりん( ひろしま )

北海道出身です。

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