おめぐみを
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とあるヨーロッパの都市。
石畳の道の上を人々が往来している。
路上で一人の中年男性が折りたたみ椅子に座って物乞いをしていた。
物乞いは口ひげをたくわえ、彼の前には、小銭がたくさん入っているクッキー缶が置いてあった。
「みなさん、おめぐみを」
そこにシルクハットの紳士が来て、物乞いを見た。
紳士は財布を懐から取り出して、高額紙幣を一枚、引っ張り出し、
二つに折って小銭の入ったクッキー缶にさっと入れた。
(そんなに、たくさん。ありがたい)
物乞いは内心大喜びして。礼を告げようとした。
しかし、紳士は缶の中の小銭の何枚かを片手ですくい取って
勘定し始めて、その中の何枚かを缶に戻した。
「ちょうど小銭がなくて、両替しようと思ってたんだ。メルシー」
「……」
乞食はあっけにとられた。
石畳の道の上を人々が往来している。
路上で一人の中年男性が折りたたみ椅子に座って物乞いをしていた。
物乞いは口ひげをたくわえ、彼の前には、小銭がたくさん入っているクッキー缶が置いてあった。
「みなさん、おめぐみを」
そこにシルクハットの紳士が来て、物乞いを見た。
紳士は財布を懐から取り出して、高額紙幣を一枚、引っ張り出し、
二つに折って小銭の入ったクッキー缶にさっと入れた。
(そんなに、たくさん。ありがたい)
物乞いは内心大喜びして。礼を告げようとした。
しかし、紳士は缶の中の小銭の何枚かを片手ですくい取って
勘定し始めて、その中の何枚かを缶に戻した。
「ちょうど小銭がなくて、両替しようと思ってたんだ。メルシー」
「……」
乞食はあっけにとられた。
その他
公開:21/03/11 16:13
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