冷たい頬

♪あなたのこと～を～、深く、あ～いせるかし～ら～♪

　カーラジオから、スピッツの『冷たい頬』。

｢スピッツも好きだけど、僕が好きなの、彼女のスパッツ～ッ！｣

　な～んて、モッコリ考えていたら、

｢私、あなたのこと、深く愛せるかしら……｣

　と、助手席の彼女が呟いた。

｢えッ？｣

　僕は、ルームミラーで、彼女をチラッ！

　ー　ドキッ！　ー

　結構、マジガオーッ！

｢そ、そんな気負わなくてもさ、アハハ……♪｣

　もう、スピッツの曲が耳から入って来ない！

｢じゃあ、あなたは私のこと、深く愛してくれてないのね？｣
｢……って、オイオイ、何を言うねや、深く愛してるよ！｣

　僕は、カンパチ、じゃなくて、間髪入れず、即答ッ！

｢あ～、私あっさり系がいいんだよね～｣

　答え、そっちかい！

　ー　ガチャ　ー

｢じゃね！｣

　赤信号で停車すると、彼女は、この恋から、降りた♪