動かない獲物

ハゲタカは、空から地上を見下ろしていた。弱った獲物を見つけるためだ。しばらくご馳走にありつけていない。たらふく食べてお腹をいっぱいにしたいところだった。
すると、一匹でいる象を見つけた。ハゲタカは近くの崖に留まった。象はひどく弱っているのか、動かずにじっとしていた。体に苔まで生えてきている。力尽きるまで数時間とかからないだろう。ハゲタカは象の限界を待つことにした。
ふと気づくと、他のハゲタカやハイエナたちも集まってきていた。自分と同じ考えに違いない。だが最初にご馳走を口にするのは、この俺だ。
ハンターたちは待ち続けた。ところが数日経っても、象が倒れることはなかった。一週間が経った頃、ついに連中は空腹に耐えかね、力尽きてしまった。
しばらくすると、象の横に車が停まり、清掃用具を持った男が出てきた。
「何てこった、こんなに汚れちまった。すっかり掃除を忘れていたよ、大事な自然公園の像なのに」