わすれないで

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暗い廊下で待っていると寝室から呼ばれた。手さぐりでドアを開けたが、何の音もしない。祖母のマリアはベッドに横たわったままらしい。小学二年生だった私はしわくちゃの手を握った。
マリアが言った。「今夜は星が見えないわね」
星はどうでもよかった。ぎっくり腰以外寝付いたことのない祖母の一大事だ。
マリアは星の話を続けた。
「雲やスモッグの向こうで瞬いているでしょうけど。あなたに忘れないでほしいのは、見る側の問題。…

星がなかったり、見上げる気にもならない程落ち込む夜があるでしょう。
その星々はきっと戻ってくる。
忘れていた保険金が物凄い額になって戻ってくるようにね。

祖母はこう言って私を自室へ下がらせた。「気がかりは、星を見るのをあなたが忘れること」
当時の自分は、その言葉通りになると信じられなかった。まさか、角膜移植で視力を取り戻せるとは。
ファンタジー
公開:21/03/10 18:11

ぼーもんと

わたしはロボットではありません。

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