要約アダプタ

あるエンジニアが要約アダプタを発明した。スマホにつけるとSNS、メールなどで表示の文字数を二、三行に要約する。大意は逃さない。テレビに取りつけると一時間番組が約一分、二時間の映画なら約三分ほどに要約してみることができる。時間を節約できてコンテンツを取り損なわないツールとして要約アダプタは売れに売れた。商品のヒットに気を良くしたエンジニアは次なる開発商品を構想した。物質を要約する装置である。一本の鉛筆を入れると爪楊枝ほどになって出てくる。一個のリンゴを入れると一粒のカプセルになって栄養分は損なわない。このリンゴカプセルで簡単に食べることができる。ステーキでもカプセルになる。
エンジニアは新しい構想にわくわくしながら外を見た。窓の外には塀の上に野良猫が一匹、光らせた目でエンジニアと目を合わせたかと思うとさっと走って行った。エンジニアの脳裏には閃くものがあった。もちろん次の発明の一つとして。