おばけの住む家

学校の近くに、おばけがいると専ら噂の廃墟がある。

学校中その話題で持ち切りだ。

「三組の山田が部活帰りにおばけを見たって」

「昔殺人事件があって、今も殺人鬼があそこにいるって聞いたよ」

「怖いよぉ。一緒に帰ろう」

噂は噂を呼び、どんどん話が大きくなっていく。

そんな噂を聴きながら、僕は誰にも見えないように鼻で笑った。

(そんな噂を信じてるなんて、みんな子供だな)



「で、真実はどうなのさ。おばけさん」

帰宅後、僕の部屋で寝転がって漫画を読んでいる、古めかしい服装の男に聞いてみる。

「殺人鬼ぃ？そりゃいいや、次からそう名乗ってみるかな」

そう言って男はからからと笑う。

そう。

この男は、この男こそが、この家に住み着いているおばけ。

何を隠そう、おばけが住んでいるのは学校近くの廃墟ではなくて

僕の家のほうなのだ。