祖母の家
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重そうなお腹を見せつけるように玄関前で猫が鳴いた。
「くそっ」
猫好きだった祖母の家には祖母が施設に入ってからも身重の猫が駆け込み寺のようにやってくる。猫草はぜったいに刈らないでと涙ぐむ祖母の顔がちらつく。仕方なく猫を家の中へ入れ、お湯で濡らしたタオルで猫を拭く。その間、猫はじっと俺の顔を見ていた。
「よし、ちょっと寝床作るから」
押し入れから物を出し、シーツでくるんだ座布団を入れる。カリカリと引っ掻く音に振り向くと、テーブルの上に放置していた引き出物を開けろと鳴いた。
「目ざといな」
包装紙を取る手に猫パンチを繰り出してくる。
「いてて、待ってくれよ」
膝の上でふがふが言う猫に箱の中身を見せた。
「高級なんだぞ」
削り節を食べる猫のお尻をポンと叩く。
「あ! お前、オスかよ!」
削り節が付いたひげを振るう。
「食べる気にならなかったからな」
猫は知ったこっちゃないと催促した。
「くそっ」
猫好きだった祖母の家には祖母が施設に入ってからも身重の猫が駆け込み寺のようにやってくる。猫草はぜったいに刈らないでと涙ぐむ祖母の顔がちらつく。仕方なく猫を家の中へ入れ、お湯で濡らしたタオルで猫を拭く。その間、猫はじっと俺の顔を見ていた。
「よし、ちょっと寝床作るから」
押し入れから物を出し、シーツでくるんだ座布団を入れる。カリカリと引っ掻く音に振り向くと、テーブルの上に放置していた引き出物を開けろと鳴いた。
「目ざといな」
包装紙を取る手に猫パンチを繰り出してくる。
「いてて、待ってくれよ」
膝の上でふがふが言う猫に箱の中身を見せた。
「高級なんだぞ」
削り節を食べる猫のお尻をポンと叩く。
「あ! お前、オスかよ!」
削り節が付いたひげを振るう。
「食べる気にならなかったからな」
猫は知ったこっちゃないと催促した。
その他
公開:21/03/09 23:30
猫
憑く家
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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