巡りくる縁

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「末吉か。お前は?」
「きょう、だった。」
「新年早々ついてないな。」
そう言う友人に首を振って、自分が持つ御神籤を見せた。
そこには、運勢の凶ではなく日付の今日と書かれている。
「子供が作った御神籤?」
一生懸命に似せたようなそれは、けれど大きさ以外は全く似ておらず。
俺はすぐに縁結びの御守りを一つ買い、先程の御神籤を丁寧に折り畳んでその中に大切に忍ばせた。
実家に帰った俺は、挨拶もそこそこに庭で遊ぶ女の子に声を掛ける。
「これ、だよね。」
うん、と眩しい笑顔をした義妹は、あの神社から両親が引き取ったみなしごだった。
すぐ懐いてくれたこの子が、遊びで作った御神籤を間違えて混ぜてしまった、と不安そうに教えてくれた。
それから何度も足を運んで、御神籤を引いて探していた。
そして、今日、引き当てたのだ。
本当に引けるとは思ってもなかったが、巡って来た思し召しのような御縁を大切にすることにした。
その他
公開:21/03/09 02:11

ハル・レグローブ( 福岡市 )

趣味で昔から物書きをのんびりやってます。
過去に書いたもの、新しく紡ぐ言葉、沢山の言の葉を残していければと思います。
音泉で配信されているインターネットラジオ「月の音色 」の大ファンです。

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