繭玉占い

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試合の必勝祈願をしよう向かった神社の参道の脇、美しい色に目を奪われて悠子は足を止めた。
- 繭玉占いですよ。
浅い木箱いっぱいに整然と並ぶパステルカラーの繭玉の中から、悠子はピンク色を選んだ。
- では、このハサミで、縦に八つ、切り込みを入れてください。勝つ姿を、しっかりイメージするのよ。
切り込みを入れ終わると、老婆が左手を差し出したので、その上に繭玉を置く。
- では。
老婆は竹串でおもむろにそれを突き刺し、壺に浸した。
 ボコボコボコ。
引き上げると、竹串の先の繭玉が、八つの切れ目がくるんと巻いて、タコさんウインナーのようになった。老婆が手首をかえすと、逆さまになったそれは花のようだった。
- 綺麗に咲きましたね。こんなのめったにないですよ。
- 本当ですか。
美しく咲いた繭玉から、WINNERの香りがした。表彰台で花束を持つメダリストたちが脳裏に浮かんで、自分の姿と重なった。
公開:21/03/08 23:29

マーモット( 長野県 )

初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
 

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