二択電話

「はい、近藤です」
「あのぅ…。すみません……。そちらは、最近噂の二択電話さんですか？」
「はい。そうですが」
「やった！繋がった！」
「回線が混みあっているようで、なかなか繋がらず申し訳ありません。ご用件は何でしょうか？」
「実は僕、そろそろ交際している彼女と結婚を考えているんです。ですが結婚してちゃんと彼女を一生幸せにできるかという事を考えると、自信がなくて、こんな奴が結婚するべきなのかと思い悩んでるんです」
「では、彼女がいない人生と彼女と子供を作って家庭を築く人生の両方を実際に体験してみてください」
「お願いします！」
「それではいきますよ」

この行列のできる電話対応は、人生で大きな選択を迫られた人が、それを選んだ人生と選ばなかった人生の両方を体験できるという不思議な電話だった。

僕はその結果、結婚する人生を選んだ。今では家庭を築き、幸せに暮らしている。