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神様は臆病者だ。幼い私をお気に入りだと巫女に選んだくせに大人の徴が出たらため息をつく。
『巫女の任を解く』
変化を恐れる神様はお気に入りの私が枯れていく姿を見たくないらしい。まるで花を手折るように私は切り捨てられた。
私に地主様との婚姻の話が持ち上がった。両親は喜んでその話を受け、私はすぐに嫁ぐこととなった。
「俺と一緒に逃げよう」
幼馴染の彼は言ってくれた。
「顔も知らない男と結婚するな!俺が幸せにしてやる!」
嬉しい言葉だ。私はどうすればいいのだろう?神様に相談した。
『それは神でも分からない。自分で決めるしかないんだ』
やっぱり神様は臆病者だ。私に答えをくれない。
私は流れに身を任せるまま、地主様と結婚した。
年若い彼は誠実で、私を大切にしてくれると言った。
ああ…この人となら幸せになれるだろう…
その晩、私は彼に身を任せ純潔の花を散らした。
私もまた臆病者だ。己で何も決められない…
公開:21/03/06 21:04

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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