宇宙に触れる

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 昔の人は、太陽が地球の周りを回っていると信じていたらしい。実際は、地球が太陽の周りを回っていた。
 地球の周りを回っている衛星月は、毎年三・八センチずつ地球から遠ざかっているらしい。いずれ地球の軌道上からいなくなってしまうのだろうか。
 海王星の周りを回っている衛星トリトンは、逆にどんどん海王星に近づいていて、約三十六億年後には近づきすぎてバラバラに砕かれてしまうらしい。

 今はまだ私の足の周りを衛星のように回ってどこにもいけない息子も、いつかは月のように遠ざかってしまうのだろうか。それは寂しいけれど、近づきすぎてバラバラに砕かれてしまうよりはいい。
 今は私の周りを息子が回っているけど、そう遠くない内に、私が彼の周りを回っているようになっているかもしれない。

 こういうときに流れる涙は、一体どんな感情を持っているのだろう。
 
その他
公開:21/03/06 12:43

shomin shinkai( 日本 )

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