もう帰る時間だよ

気が付けば、目の前に遊園地が広がっていた。

お客は他に誰もいない、僕だけの貸し切り状態だ！

順番待ちもしなくていい。

メリーゴーランドにジェットコースター、観覧車。

一体どれだけの時間遊んだんだろう。

それでもお空は青いままだ。

全部の乗り物を制覇して、残るは一つ。

僕はお化け屋敷の前にやって来た。

よーし、いくぞ！

『帰っておいで』

え？

『こっちに戻ってきなさい』

お母さんの声だ。でも、あとお化け屋敷だけなんだけど…

『お願い』

……………………

僕は、お化け屋敷に背を向けて遊園地の出口へ向かう。

お化け屋敷の中から、「もう少しだったのに」って声がしたのは、気のせいだよね。



「貴方！貴方、タカシが目を覚ましたわ！」
「先生を呼んでくる！」

気が付けば、目の前に白い天井が広がっていた。

(帰ってきて正解だったな)