私の金を盗んだのはあんたか?

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私が電車のボックス席に乗っていると、向かい側に座っていた男が急に騒ぎ出した。
「ない…!財布がない!十万円入っていたのに」
私はこの男が哀れに思えた。
やがて男は怯えるような目で私を睨みつけて言った。
「この電車に乗る前には確かにあったんだ…」
私は胸糞の悪い気分になった。
私をスリと疑っているのか?
「私は盗んでませんよ」
ムッと答える。
男の目が下に潜る。
「私の勘違いでしたらすみません。でも…大事なものなんです」
男は頭を抱えた。
「…お願いです。荷物を調べさせて頂けませんか?」
私は強く溜息をついた。
「…わかりました。私にやましいことはありません。でもそれであなたの気が済むのなら」
当然のことながら、男がいくら私の荷物を調べても財布は見つからない。
男は落胆し、次の駅で降りていった。

帰宅すると、私は自分の荷物の中から財布や金目のものが一切失われていることに気がついた。
ミステリー・推理
公開:21/03/06 08:44
更新:21/03/06 08:45

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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