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今朝も妻と日課の散歩に出た。
ふと、空を見上げると太陽のまわりに虹。
私は妻に言った。
「珍しいな雨など降ってないが、虹が出てるぞ。見えるか?」
妻は笑って頷くだけだ。
私たちの散歩はいつもこうだ。会話はない。
妻の口数が減ってきて、異変に気がついた。それから、毎朝の散歩が日課になった。花を眺め、香り感じふたりで四季を味わった。若い頃から表情豊かな妻は今も変わらず美しい。
家に帰り、晴れた日の虹を調べた。
ー『彩雲』吉兆の前触れーとあった。
今さら何があるのか。
今の暮らしが続けばそれでいいさ。
7日後、私は厨房から聞こえる、小気味良い包丁の音で覚めた。
「あなたの好きな大根のおみおつけですよ」
吉兆なのか?
「久しぶりに味わう妻の味」
私は涙が溢れ、朝日が虹色に輝いた。
味噌汁は、澄んだ色をしていたが、
落とした涙でいい塩加減になっていた。
妻は笑って頷くだけ。
ふと、空を見上げると太陽のまわりに虹。
私は妻に言った。
「珍しいな雨など降ってないが、虹が出てるぞ。見えるか?」
妻は笑って頷くだけだ。
私たちの散歩はいつもこうだ。会話はない。
妻の口数が減ってきて、異変に気がついた。それから、毎朝の散歩が日課になった。花を眺め、香り感じふたりで四季を味わった。若い頃から表情豊かな妻は今も変わらず美しい。
家に帰り、晴れた日の虹を調べた。
ー『彩雲』吉兆の前触れーとあった。
今さら何があるのか。
今の暮らしが続けばそれでいいさ。
7日後、私は厨房から聞こえる、小気味良い包丁の音で覚めた。
「あなたの好きな大根のおみおつけですよ」
吉兆なのか?
「久しぶりに味わう妻の味」
私は涙が溢れ、朝日が虹色に輝いた。
味噌汁は、澄んだ色をしていたが、
落とした涙でいい塩加減になっていた。
妻は笑って頷くだけ。
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公開:21/03/05 22:07
認知症
夫婦
虹
ずふの素人ですが、物書きに興味を持ってしまい、
2021.1月からはじめました。
身近にあった出来事をヒントに書いています。
書くことがこんな面白いとは!
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