夢クリニック

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友人のマルちゃんが夢分析をしてもらった話。
「変な夢をよく見ます。甲高い笛が鳴って大きな飛行船が降りてきて、手が届きそうなくらいに近づいてはふわりと上がる。どんどん上がってたくさんのチラシを撒く。その紙切れを一枚も掴めずに飛行船が高く去ってゆく。そんな夢です」
「分析します」と女医が説明した。
「笛の音は危険の予知です。ご自身の心理が万全ではない。本日、クリニックに来たのは賢明な選択です」
「はあ」
「飛行船は女性。女性と親しくなりたいあなたの願望です。それもふくよかなタイプの」豊かなバストの女医は近寄った。
「でもそれは実現しません」
そういうと女医はマルちゃんから距離を取った。
「はあ。紙のチラシは?」
「紙切れは紙幣です。撒くのは無駄遣いの意味」
「はあ、そうですか」
結局、一時的な不安に過ぎないとの診断に納得してマルちゃんは診察室を出た。帰るときに法外な治療費を請求されたらしい。
その他
公開:21/03/05 11:22

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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