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暖炉の奥から薄汚れた赤い服の老人が現れた。
「サ、サンタじゃよ……」
もう3月になるのだ。本物であるわけがない。煤まるけの姿は控えめに言って泥棒である。
自称サンタは炉の中で苦しそうにもがきながら、なんとか身体を外に持ち出そうと悪戦苦闘していた。
ようやく抜け出た赤い服の老人は思ったより背が高く、トロールのようにして僕の前に立ち上がった。どうやって煙突の中に入り込んだのか。
「ふう、やれやれ、儂はサンタ。3が多くて3多じゃ」
「桃茂さんのSSに出てきそうな設定だな」
「誰じゃ、そやつは……」
「もう6日ですよ」
「そうか……3日間も閉じ込められていたのじゃな……」
「さすが3多」
3多は袋の中から3匹の子豚を取り出した。ぶうぶうと可愛い。
「こやつらが、お主を狼のような悲劇から守ってくれよう」
「すでに悲劇済ですが」
雪白のマントルピースには大きな煤汚れが3つ、こびり付いていた。
「サ、サンタじゃよ……」
もう3月になるのだ。本物であるわけがない。煤まるけの姿は控えめに言って泥棒である。
自称サンタは炉の中で苦しそうにもがきながら、なんとか身体を外に持ち出そうと悪戦苦闘していた。
ようやく抜け出た赤い服の老人は思ったより背が高く、トロールのようにして僕の前に立ち上がった。どうやって煙突の中に入り込んだのか。
「ふう、やれやれ、儂はサンタ。3が多くて3多じゃ」
「桃茂さんのSSに出てきそうな設定だな」
「誰じゃ、そやつは……」
「もう6日ですよ」
「そうか……3日間も閉じ込められていたのじゃな……」
「さすが3多」
3多は袋の中から3匹の子豚を取り出した。ぶうぶうと可愛い。
「こやつらが、お主を狼のような悲劇から守ってくれよう」
「すでに悲劇済ですが」
雪白のマントルピースには大きな煤汚れが3つ、こびり付いていた。
ファンタジー
公開:21/03/06 22:00
更新:21/03/05 11:06
更新:21/03/05 11:06
桃茂さんに捧ぐ
さまようアラフォー主夫
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