残業雪だるま

雪が止み、久々に外に出ると雪だるまが作られていた。
長く降り続いていた雪は、大人にとっては厄介な存在だった。
しかし、子供にとっては立派な遊び相手だったようだ。
冬の風物詩とも言える雪だるまを見ていると、この雪が少し楽しく思えてくるのが不思議だった。

だが、それも少しの間だけだった。
気温が上がり始めると雪は溶けていった。
雪だるまも例外ではない。
ただ、一つを残して。

自宅の前にいつの間にか置かれていた小型の雪だるまは、雪が溶け切っても溶ける事なく残っていた。
物凄い根性である。
雪景色を守るために、残業をしているかのような雪だるまにどこか感動を覚える。

どのような仕組みなのかと思い、好奇心に負けて雪だるまに触れる。
冷たくはなかった。それどころか表面がぼろぼろと落ちる。
この感触には覚えがあった。
落ちた雪だるまの表面を舐める。しょっぱい。

これ、塩だ。