何者
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強要された仕事は余りにも理不尽だ。見知らぬ住宅街まで逃げて来たが、追っ手を上手く撒いたようだ。
『良いのですか? 一族の主ともあろうお方がこんな所でうろうろと』
薄暗い街灯の下にぼうっと四本の足のようなものが見えた。身体は獣のように毛深く黒い。
ジャケットのポケットに武器になるような物は無いかと探るとライターと煙草が入ってた。
『そんなもの、何の役にたちませんよ。あら』
一本の足が伸びてきて、落ちたハンカチを掴み取った。
『匂い、覚えましたよ』
「何してる」
男の声に反応して四つ足は闇に消えた。
「身代わりが仕事放棄するなよ」
瞬間的に投げつけたライターを男は避け、呪文を唱える。文句を言いかけた身体はみるみる内に紙人形に戻った。
『お前も身体の弱い兄の身代わりだろう』
男の心に巣食う魔が嗤う。
「ふん、元より承知」
紙人形を胸ポケットに押し込むと暗闇へと走り出した。
『良いのですか? 一族の主ともあろうお方がこんな所でうろうろと』
薄暗い街灯の下にぼうっと四本の足のようなものが見えた。身体は獣のように毛深く黒い。
ジャケットのポケットに武器になるような物は無いかと探るとライターと煙草が入ってた。
『そんなもの、何の役にたちませんよ。あら』
一本の足が伸びてきて、落ちたハンカチを掴み取った。
『匂い、覚えましたよ』
「何してる」
男の声に反応して四つ足は闇に消えた。
「身代わりが仕事放棄するなよ」
瞬間的に投げつけたライターを男は避け、呪文を唱える。文句を言いかけた身体はみるみる内に紙人形に戻った。
『お前も身体の弱い兄の身代わりだろう』
男の心に巣食う魔が嗤う。
「ふん、元より承知」
紙人形を胸ポケットに押し込むと暗闇へと走り出した。
ファンタジー
公開:21/03/04 00:07
ホラーかな?
こんな話を考えてます
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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